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派遣エンジニアに転職する前にアナタが知っておくべきこと

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現在、日本では「IT人材の不足」が叫ばれています。エンジニアへの転身や、新卒採用時にエンジニアになろうと考える方も多数いらっしゃると思います。

以前(コラム5)もお話させて頂いた通り、サービス開発会社、受託制作会社(SIer含む)、エンジニア派遣会社など様々なエンジニアにまつわる会社が存在することも事実です。その中で「エンジニア派遣会社に就職をしよう!」と考える方もいらっしゃると思います。全ての会社、選択肢において言えることですが、その選択にはメリットとデメリットが存在します。そこで、今回は派遣エンジニアに就職、転職する際に考えておくべき重要なポイントについてお話したいと思います。

あなたはこうして騙される!

世の中には、「派遣=ビジネスパーソンとしての成長」という記事が溢れています。しかし、本当にそうなのでしょうか?そういった記事を見ると、メリットしか記載されていないものが多数あります。そのため、今回はもう少し広い視点で派遣エンジニアについて考えたいと思います。

派遣エンジニアをマクロ視点から考察する

<なぜ「派遣エンジニア」が存在するのか?>

日本では派遣社員という働き方が多く広まっています。「日本では」と記載をしましたが、アメリカなどでは派遣会社自体はあるものの、その数はかなり少ないのが実態です。具体的には、日本にある派遣会社数は世界一位で67,000社、アメリカにある派遣会社数は2位で14,000社。つまり日本は世界でダントツの派遣企業数を誇っているのです。尚、派遣労働者は年々増加しているというデータもあります。

では、なぜこのようなことが起こっているのでしょうか。ひとつは日本における終身雇用の問題があります。日本企業の多くは、労働者を一方的な理由で解雇することはできません。逆にアメリカでは個人業績を出さなければ、また会社の業績が悪くなれば労働者を解雇できます。

それでは、日本はそんなに経済が良く、会社の業績も悪くないのでしょうか?日本だけその様なことが起こるわけがありません。実際、日本でも多くの企業が困難な状況に直面し、倒産の憂き目に遭っていると言えます。つまり、日本企業においては、一度社員を雇えば、労働者が辞表を提出するまで会社はむやみに解雇し、労働者の人件費という企業における固定費を削減することはできないわけです。

では、倒産のリスクを考えた時、経営者はどういう選択肢を取るでしょうか?そうです。価値のない作業の部分には派遣労働者を充当し、企業の意思決定やコスト構造に柔軟性を持たせているわけです。これはとても合理的な判断であると言えますし、むやみに経営者を非難することはできません。つまり、日本では一度社員を受け入れてしまえば、パフォーマンスを出そうが出すまいが、基本的には雇用し続けなくてはいけないという事象が起きてしまっているため、派遣社員を「雇用の調整弁」として扱っているとも言えます。

派遣エンジニアとIT産業の実態

労働者派遣の中で最大の就労者数を抱えているのは、IT業界であると言えます。その中でも就労者数の面でも、現在の企業ニーズとしても最も高いと言えるのがITエンジニアです。

IT産業の中で特に問題なっているのは多重請負です。多重請負とは、1次受けのベンダー企業が、発注主である大企業が上流の設計に入り、その配下にいくつかの請負企業を従えるという構造です。また、2次で受けた企業が、自社では人員が足りず、実際にはその他企業を更に集めるということも多くあります。

この業務においては、仕様に書いてある通りに、プログラムを期日通りに納品するということが大事になります。そこにエンジニアとしての創造性は必要とされません。「言われた通りにやればいい」ということになります。

ただし、ここに問題が発生します。発注主である企業はシステムのことなど全く理解しておらず、自分たちの意見を主張し続けます。これにより、1次受けのベンダー企業は仕様を変更するのですが、仕様として破綻していても進めていくため、労働時間の過多など様々な問題が発生することになるわけです。

また、エンジニア派遣は人月、人日でお金を頂くビジネスです。つまり、「大量に人をアサインすれば、お金が儲かる」という仕組みです。そのため、派遣会社は経験や適性がなくても無理に採用し、本人の希望を聞くことなく、現場にアサインします。

そして、労働者としての単価が決まっているため、ある一定の給与で収入は止まってしまうことになります。私がIT業界に入ったばかりの頃は、こういった事象のため、「IT土木」などとも言われていました。

つまり、派遣会社の利益構造、多重請負の実態、日本におけるシステムのスクラッチ主義など、様々な問題が絡み合うことで、派遣エンジニアの成長や給与を奪っていくことになると私たちは考えています。

派遣エンジニアへの転職はありか?なしか?

求職者の方から「派遣エンジニアはありですか?なしですか?」と聞かれることがあります。結論としては、「その求職者の方の状況による」とお話をさせて頂いています。

大学でも情報処理などを勉強し、学生でもバリバリとプログラミングをしていた方が何となく派遣会社に決まってしまい、何となく就職をしてしまったということも聞いたことがあります。そういう方にとっては、単に忙しいだけで成長には繋がらない日々となってしまうと感じます。

ただ、もし未経験でキャリアチェンジを目的に派遣エンジニアを選択するということもあると思います。それに対して私たちとしてはありではないか?と考えるわけです。その代わり、数年でその会社から抜け出るための自己研鑽が必要になってくると考えます。

まとめ

私は必ずしも派遣会社、派遣エンジニア、SESを否定しているわけではありません。求職者の方が派遣エンジニアの職業を選ぶ際には、「その派遣エンジニアの道に将来はあるのか?」ということを考えてほしいと思っています。

耳が痛い話かもしれませんが、求職者の方の将来を真剣に考えれば、私たちは「そこはあなたがずっといる場所ではない」とお伝えしたいと思っています。いつか自分らしく働ける環境を見つけるためのひとつの通過点でしかないのですから。

私たちにご相談頂く求職者の中には、「他社エージェントで派遣会社を辞めたいと思って相談したのに、他の派遣会社を紹介してきた」という方もいらっしゃいます。真剣に求職者の将来を考えれば、派遣会社ありきの紹介というのはおかしいですし、その様なエージェントのスタンスには疑問が残ります。

少しでも日本のITエンジニアの地位が上がるように、そしてエンジニアのみなさんにとって輝かしい未来へ導けるように、今後も私たちは頑張っていきたいと思います。