社会にIT(情報技術)が浸透することで、個人情報や機密情報のやり取りが活性化しています。それに伴い、情報セキュリティ対策の重要性が高まってきています。これは、「情報セキュリティスペシャリスト」の活躍が多くの企業で求められているということです。
そこで今回は、情報セキュリティスペシャリストの概要から求められる理由、目指すためにすべきこと、キャリアアップの方法までご紹介します。「情報セキュリティスペシャリストとして活躍したい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
情報セキュリティスペシャリストとはどんな仕事か?
情報セキュリティスペシャリストとは、組織や企業の情報セキュリティを確保し、保護するための専門家のことです。情報システムの企画や開発、運用・保守において、情報セキュリティポリシーに準じたセキュリティ機能を実現するための職業ともいえます。
そんな情報セキュリティスペシャリストの主な仕事は、以下のとおりです。
これらは、情報セキュリティスペシャリストが組織全体のセキュリティを確保し、悪意ある行為やデータ漏洩から組織を守るために行う主要な活動です。
なぜ情報セキュリティスペシャリストが求められるか?
暮らしのあらゆる場面にITが浸透している今、情報セキュリティの重要性は高まっています。企業においてもシステムの安全性を求める傾向は強く、情報セキュリティスペシャリストのニーズは安定しているといえます。
では、なぜ情報セキュリティスペシャリストが求められるのでしょうか。その具体的な理由には、主に以下の6つが挙げられます。
1.セキュリティの脅威が増加
インターネットの普及とテクノロジーの進化に伴い、サイバー脅威も複雑化し増加しています。実際に総務省は「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」にて以下のように述べています。
(1) サイバーセキュリティ上の脅威の増大
引用:サイバーセキュリティ上の脅威の増大|総務省
NICTが運用している大規模サイバー攻撃観測網(NICTER)が2022年に観測したサイバー攻撃関連通信数(約5,226億パケット)は、2015年(約632億パケット)と比較して8.3倍となっているなど、依然多くの攻撃関連通信が観測されている状態である(図表4-10-2-1)。また、2022年に観測されたサイバー攻撃関連通信数は各IPアドレスに対して17秒に1回攻撃関連通信が行われていることに相当する。
この背景から、情報セキュリティスペシャリストはサイバーセキュリティ上の脅威に対抗し組織を保護する役割として、多くの企業から求められていると考えられます。
2.データの重要性と増加
組織は多くのデータを取り扱っており、そのデータは企業の競争力や顧客信頼に直結しています。
情報セキュリティスペシャリストは、これらのデータを保護し機密性や整合性を確保する役割も果たすため、一定の需要があるといえるでしょう。
3.法的・規制上の要件の強化
セキュリティの不備がデータ漏洩や悪用といった問題を引き起こすことがあるため、多くの国や業界で法的・規制上の要件が強化されています。
情報セキュリティスペシャリストは法的・規制上の要件を満たし、コンプライアンスを確保する役割でもあるため、多くの企業になくてはならない存在として認知されていると考えられます。
4.経済的損失の防止
もしサイバー攻撃に遭ったりセキュリティインシデントが起きたりした場合、企業は機密情報の漏洩、サービスの中断、経済的損失など、さまざまな被害を受ける可能性があります。
情報セキュリティスペシャリストはこれらの被害を最小限に抑え、経済的損失を防止する役割も果たすことから、多くの企業にとって必要な存在となっています。
5.顧客信頼の維持
セキュリティの強化は、顧客信頼の確立や維持にも関連しています。顧客は自分たちの個人情報や取引データが安全であることを期待しており、情報セキュリティスペシャリストはこの信頼を築くために重要な役割を果たしています。この点から、一定の需要があると考えられます。
6.新たなテクノロジーの導入
企業が新しいテクノロジーを導入する際には、それに伴うセキュリティリスクを評価し、適切な対策を講じる必要があります。
情報セキュリティスペシャリストは、新しいテクノロジーに対応する役割を果たすため、多くの企業から求められていると考えられます。
情報セキュリティスペシャリストになるためにはどうしたらよいか?
情報セキュリティスペシャリストになるためには、以下のポイントを考慮するとよいでしょう。
これらのポイントを組み合わせてスキルアップを図ることで、情報セキュリティスペシャリストとしてのスキルと経験を築くことができます。
情報セキュリティスペシャリストとしてのキャリアアップの方法は?
情報セキュリティスペシャリストとしてキャリアアップする方法には、主に以下の8つがあります。
1.専門的な資格取得
情報セキュリティスペシャリストとしてより高度なセキュリティスキルを身につけるために、専門的な資格を取得するとよいでしょう。
とくにおすすめの資格には、CISSP、CISM(Certified Information Security Manager)、GIACシリーズ、AWS Certified Security – Specialtyなどが挙げられます。
2.技術スキルの向上
セキュリティ技術は日々進歩しているため、今備えているスキルだけで満足してはいけません。キャリアアップを目指すのであれば、最新の技術やツールに対する理解を深め、実践的なスキルを向上させることが大切です。
3.リーダーシップとマネジメントスキルの磨き
情報セキュリティスペシャリストとしてリーダーシップやマネージメントスキルを向上させ、セキュリティチームを効果的に指導できるようになると、上級のポジションやリーダーシップロールに進みやすくなるでしょう。
4.プロジェクトマネジメントの経験
セキュリティプロジェクトの経験を積むことで、プロジェクトマネジメントのスキルを向上させ、大規模で複雑なセキュリティイニシアチブをリードできるようになります。この進歩は情報セキュリティスペシャリストとしてのキャリアアップにも大きく貢献するでしょう。
5.業界イベントやネットワーキング
セキュリティ業界のイベントやカンファレンスに参加し、ほかのセキュリティプロフェッショナルとのネットワーキングを行うことで、最新のトレンドやベストプラクティスを学び、キャリアの機会を見つけることができます。
6.教育とトレーニング
セキュリティスキルを日々向上させることは、キャリアアップにつながる重要なステップです。そのため、定期的な教育やトレーニングを受けて、新しいセキュリティの手法や脆弱性に対する理解を深めるようにしましょう。
7.継続的な自己評価と改善
情報セキュリティスペシャリストとしての自分を客観視し、強化すべきスキルや知識を特定したのち、それに対する改善策を見つけることも重要です。
「自分に足りないところ」「自分の弱点」が見えるとネガティブな気持ちになるかもしれませんが、成長の機会と捉えて奮起しましょう。
8.メンターシップとコーチング
経験豊富なメンターからのアドバイスや指導を受けることで、自身のスキルを向上させることができます。また、ほかのプロフェッショナルに対してもメンターシップを提供することで、自分自身も成長する機会となります。
これらの方法を組み合わせて自分自身の専門性を深め、キャリアを発展させましょう。
まとめ
情報セキュリティスペシャリストは、組織や企業の情報セキュリティを確保し、保護するための専門家です。セキュリティ脅威の増加や法的・規制上の要件の強化、経済的損失の防止などを理由に、今多くの企業で求められています。そのため、情報セキュリティスペシャリストの将来は明るく、転職する職種にも選びやすいといえます。
ただし、簡単に情報セキュリティスペシャリストになれるわけではありません。情報セキュリティに関連する知識やスキルが必要になるのはもちろん、資格や実務経験、コミュニケーションスキルも求められます。そのため、情報セキュリティスペシャリストを目指すにあたって必要で、かつ自分にはない知識やスキルの向上を図るようにしましょう。
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