システム開発にはさまざまなスタイルがありますが、なかでも“アジャイル開発フレームークのひとつであるスクラム”では「スクラムマスター」が重要な役割を果たします。
そこで今回は、スクラムマスターの概要や仕事内容、プロジェクトマネージャーとの違いなどについてご紹介します。あわせて、スクラムマスターを目指す上で必要なスキルも解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
スクラムマスターとは?
スクラムマスターとは、「スクラム(※1)」と呼ばれるアジャイル開発フレームワーク(※2)において、チームがスクラムの原則とプラクティスを適切に理解し、効果的に適用できるよう支援する役割を果たす人のことです。
スクラムマスターは、チームがスクラムの価値を最大限に引き出せるよう、障害を解決し、プロセスを改善し、促進者としての役割を果たします。これを通じて、「チームが自己組織化し、高品質な成果を迅速に提供できる」という目標の達成を目指します。
※1 特定の役割を担うメンバーで構成されるチーム
※2 システム開発やソフトウェア開発などのプロジェクトを機能単位で細分化する手法
スクラムマスターの仕事内容は?
スクラムマスターは、チームがスクラムの原則に忠実に従いながら自己組織化し、高品質な成果を生み出せるようにサポートする役割を担っています。この点から、主な仕事内容には以下の5つが挙げられます。
スクラムの実践支援
チームがスクラムの原則やプロセスを理解し、適切に実践できるよう支援します。具体的には、スクラムのミーティング(スプリントレビュー、デイリースクラム、スプリントレトロスペクティブなど)の運営や、スクラムのアーティファクト(プロダクトバックログ、スプリントバックログなど)の管理などを行います。
障害の除去
チームが生産性を最大化できるよう、障害や問題を解決します。具体的には、外部の要因やチーム内の問題を識別し、それらを解決するための手段を見つけます。
チームのコーチング
チームメンバーや関係者に対して、スクラムの原則やアジャイルの価値観を普及し、理解を深める支援を行います。また、チームの自己組織化を促進し、自己改善能力を向上させるためのコーチングも、スクラムマスターの仕事内容のひとつです。
プロセス改善の推進
チームが効果的に働けるよう、プロセスの改善や最適化を促進します。具体的には、スクラムの実践における障害や問題点を特定し、それらを改善するための方法を模索します。
ステークホルダーとの調整
チームとステークホルダーによるコミュニケーションを円滑に行うため、調整役としての役割を果たします。具体的には、プロジェクトの進捗報告やリスク管理、期待の調整などが含まれます。
プロジェクトマネージャーとの違いは?
スクラムマスターはプロジェクトマネージャーと混合されることも珍しくありません。しかし、実際は「役割・焦点」「チームへの関与」「リスクと変更の管理」の3点に違いがあります。
役割と焦点の違い
役割と焦点の違いは以下のとおりです。
スクラムマスター
主にチームのプロセスと実践に焦点を当てます。これにより、スクラムの原則やプラクティスをチームに導入し、最大の効果を得ることを目指します。
プロジェクトマネージャー
プロジェクト全体の管理と進行に焦点を当てます。これにより、スケジュールやリソース、予算などを管理し、プロジェクトの成果物が期待どおりに納品されるようにします。
チームへの関与の違い
チームへの関与の違いは以下のとおりです。
スクラムマスター
主にチームを支援・コーチングし、障害を除去します。チームが自己組織化し、最適な方法で作業を行うことを促進するのが目的です。
プロジェクトマネージャー
チームの一部として、タスクの割り当てや進捗の追跡、リソースの管理などを行います。具体的には、チームの進行状況を監視し、必要に応じて調整やリソースの再配置を行います。
リスクと変更の管理
リスクと変更の管理における違いは以下のとおりです。
スクラムマスター
チーム内のリスクや障害を解決することでプロセスの改善を促進し、チームがスムーズに作業できるようにします。
プロジェクトマネージャー
プロジェクト全体のリスクや変更を管理し、それらに対処する計画を立てます。具体的には、プロジェクトの目標達成に向けてリスクを監視し、必要な措置を講じます。
簡潔にいえば、スクラムマスターは主に「チームとプロセス」に焦点を当て、プロジェクトマネージャーは「プロジェクト全体の管理と成果物の納品」に焦点を当てます。
スクラムマスターがチームにいることのメリットは?
スクラムマスターがチームにいることには多くのメリットがあります。その中でも主なものは以下のとおりです。
プロセスの支援と改善
スクラムマスターはチームにスクラムの原則やプラクティスを導入し、その実践を支援します。具体的には、チームがスムーズに作業できるようにプロセスを最適化することで、障害が取り除かれます。
チームの成長と能力向上
スクラムマスターはチームメンバーに対してコーチングやメンタリングを行い、彼らの能力向上と成長を促進します。これにより、チームはより効果的に働くことができます。
障害の迅速な解決
チームがプロジェクトを進める際に発生する障害や問題をスクラムマスターが迅速に解決することで、生産性が向上し、プロジェクトの進行がスムーズになります。
コミュニケーションの円滑化
スクラムマスターはチームとステークホルダーとの間でコミュニケーションを円滑に行います。これにより、チームとステークホルダーの期待が一致し、プロジェクトの進行が円滑になります。
自己組織化の促進
スクラムマスターはチームが自己組織化するための環境を整え、自己改善能力を向上させます。これにより、チームはより柔軟かつ効果的にプロジェクトに対処できるようになります。
これらのメリットから、スクラムマスターがチームにいることはプロジェクトの成功に不可欠な要素といえるでしょう。
スクラムマスターになるために求められるスキルは?
スクラムマスターには、以下のようなスキルが求められます。
スクラムの理解
第一に、スクラムの原則やフレームワーク、プラクティスに対する深い理解が必要です。スクラムガイドをはじめとする公式の文書やトレーニングを通じて、スクラムの理論と実践を学びましょう。
コーチングとファシリテーション
チーム・個人の成長を促進するために、コーチングやファシリテーションの能力を備える必要があります。これらの能力を発揮してチームの問題解決や意思決定を支援し、自己組織化を促進することが求められます。
コミュニケーション
スクラムマスターには優れたコミュニケーション能力も必要です。チームメンバーやステークホルダーとこまめにコミュニケーションを取り、情報を共有し、意思決定を行います。
問題解決能力
スクラムマスターは、チームの進行を妨げる要因を取り除く役割を担います。そのため、チームが直面する障害や課題を迅速に特定し、解決策を見出す能力も必要です。
柔軟性と適応力
スクラムは柔軟なアジャイルなフレームワークであり、スクラムマスターは状況や要求に応じて適切なアプローチを取る必要があります。そのため、変化に対する柔軟性と適応力も欠かせません。
リーダーシップ
スクラムマスターはチームのガイドとなり、チームが自己組織化し成果を最大化できるようサポートします。そのため、チームをリードし目標に向かって導くリーダーシップ能力も必要といえるでしょう。
これらのスキルを磨き、スクラムの理念に共感し、実践に活かせる能力があることが、スクラムマスターになるための重要な要件です。
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まとめ
スクラムマスターは、スクラムにおいて「チームが自己組織化し、高品質な成果を迅速に提供できる」という目標を果たす役割を担います。具体的には、スクラムの実践支援や障害の除去、チームのコーチング、プロセス改善の推進などを行いチームをサポートします。
スクラムマスターになるには、スクラムの理解はもちろん、コーチングとファシリテーション、コミュニケーション、問題解決などの能力が必要です。そのため、もし転職を機にスクラムマスターを目指すのであれば、スキルの習得から始めるとよいでしょう。
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