ビジネスを拡大する場面で「API」を活用するケースは増えています。とはいえ、APIについてわからなければ、活用したくても実行に移せません。
そこで今回は、APIの概要・仕組みやメリット・デメリット、Web APIとの違いなどについてご紹介します。あわせて、APIを使用する際に必要な知識、使用時の注意点も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
APIとは?
API(Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インターフェース)は、ソフトウェアアプリケーション同士が情報をやり取りするための架け橋およびルールセットのことです。プログラム同士が通信し、情報を要求したり送信したりする方法を提供します。
APIは、開発者が異なるソフトウェアやサービスを統合し、それらを連携させるための手段として利用されます。たとえば、Webサイトやアプリケーションで天気予報を表示したい場合、気象情報を提供する外部のサービスのAPIを使用して、そのデータを取得します。
また、ソーシャルメディアのアカウントを作成するときに、ユーザーのプロフィール情報を取得するために、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアプラットフォームが提供するAPIを使用することもあります。
APIは通常、特定のタスクや機能にアクセスするためのメソッドやエンドポイントの集合として提供されます。これにより、開発者は必要な情報や機能に簡単にアクセスでき、自分のアプリケーションやサービスに組み込むことができます。
API連携の仕組みを詳しく
API連携の仕組みを分かりやすく説明します。
想像してみてください。あなたがレストランで注文をするとします。あなたはウェイターに注文を伝え、ウェイターはシェフにその注文を伝えます。そして、シェフはその注文を準備し、ウェイターがそれをあなたに届けます。ここでは、あなたが顧客(クライアント)であり、ウェイターやシェフがAPIです。
API連携では、異なるソフトウェアやサービス間で情報やサービスを交換します。一般的な手順は以下のとおりです。
このようにしてAPIを使用することで、異なるアプリケーションやサービスが情報や機能を共有し、連携することが可能になります。
API利用のメリットは?
APIを利用するメリットは以下のとおりです。
機能の拡張
APIを使用することで、開発者は自分のアプリケーションやサービスにほかのサービスやシステムの機能を容易に統合することができます。これにより、新しい機能を追加したり既存の機能を拡張したりすることが可能です。
リソースの共有
APIを介して情報や機能を共有することで、リソースの有効活用が可能になります。たとえば、あるサービスが提供する機能を別のサービスが再利用することで、開発時間やリソースを節約することができます。
スケーラビリティ
APIを利用することで、アプリケーションやサービスをよりスケーラブルにできます。外部サービスやシステムの機能を利用することで、自社のリソースをより効率的に利用できるでしょう。
データの利用
APIを使用することで、外部サービスやシステムが提供するデータにアクセスすることができます。これにより、リアルタイムの情報や外部データを活用して、より価値のあるアプリケーションやサービスを開発することが可能になります。
統合性の向上
APIを利用することで、異なるシステムやサービスを簡単に統合することができます。これにより、データの一元化や処理の自動化など、統合性の向上が実現されます。
API利用のデメリットは?
APIを利用することにはメリットがある一方でデメリットもあります。
依存性の増加
外部のAPIに依存した場合、そのAPIが利用できなくなったり変更されたりすると、自社のアプリケーションやサービスにも影響が及ぶ可能性があります。
セキュリティリスク
外部のAPIを利用することは、セキュリティリスクを伴います。信頼性の低いAPIを使用する場合、データの漏洩や悪意のある攻撃のリスクが高まるでしょう。
パフォーマンスの問題
外部のAPIを利用することで、アプリケーションのパフォーマンスに影響が及ぶ場合があります。外部APIへのリクエストやレスポンスの遅延が発生すると、ユーザーエクスペリエンスに悪影響を与えかねないのです。
制限や料金
外部のAPIによっては、APIプロバイダーが制限や料金を設定していることがあります。この場合、APIの利用には制限がかかり、特定の利用量を超えると追加料金が発生します。
バージョン管理の困難さ
APIは定期的に更新され、新しいバージョンがリリースされることがあります。これにより、古いバージョンのAPIを使用しているアプリケーションが動作しなくなる可能性があるのです。
そのため、APIのバージョン管理を行い、アプリケーションのアップデートや修正をする必要があります。
Web APIとの違いは?
APIと混同されがちなものに「Web API」があります。
Web APIは、Web上で利用可能なAPIの一種です。Webサービスやオンラインプラットフォームが提供するAPIの一般的な形態で、HTTPプロトコルを通じて通信できるのが特徴です。
Web APIを使用することで、Web上のリソースにアクセスしたり、データを送受信したりすることができます。
一方で、APIはWeb上でなくても使用される場合があります。たとえば、ローカルネットワーク内のシステム間で通信するAPIや、モバイルアプリケーションとデバイス間で通信するAPIなどがあります。これらのAPIもソフトウェア同士の情報交換を可能にしますが、Web APIとは異なるプロトコルや通信方式を採用することがあります。
Web APIは、HTTPプロトコルを通じて情報をリクエストやレスポンスとして送受信するため、一般的にWebアプリケーションやモバイルアプリケーションなどのクライアントから利用されます。
そのため、Web APIは広く利用され、オープンで標準化されたプロトコルに基づいて設計されることが一般的です。
APIを使うのに必要な知識は?
APIを使用するためには、いくつかの基本的な知識が必要です。
プログラミング言語
APIを使用するためには、少なくとも基本的なプログラミング言語の知識が必要です。APIを呼び出すためのコードを書く必要があるため、その言語の文法や構文を理解していることが重要です。
HTTPプロトコル
Web APIを使用する場合、HTTPプロトコルについて理解する必要があります。HTTPリクエストとレスポンスの基本的な構造や、HTTPメソッド(GET、POST、PUT、DELETEなど)の役割を押さえましょう。
データ形式
APIを通じてデータを送受信する際、一般的なデータ形式を理解する必要があります。JSONやXMLなどの形式がよく使われるので、これらについての基本的な知識は最低限備えておきましょう。
認証
多くのAPIは認証を必要とするため、アクセストークンやAPIキーなどの認証情報を提供する必要があります。この点から、認証方法や認証プロセスについての理解も必要といえます。
ドキュメンテーションの読解
APIを取り入れる際は、そのAPIのドキュメンテーションを理解し、適切に使用することが重要です。APIのエンドポイント、リクエストおよびレスポンスの形式、サポートされている機能などについての情報を読み解く必要があります。
これらの知識を持つことで、APIを効果的に利用し、ほかのサービスやシステムとの連携を実現することができます。
APIを利用する際の注意点は?
APIを利用する際には、以下の注意点を考慮することが重要です。これにより、セキュリティやパフォーマンス、信頼性が向上し、API利用のトラブルを避けることができます。
1.認証と認可
APIキーや認証情報は環境変数・セキュアストレージを使って管理し、ソースコードにハードコーディングしないようにしましょう。また、APIが提供する認証(たとえばOAuth)を正しく実装し、適切なアクセス権限を設定することも重要です。
2.セキュリティ
APIとの通信には常にHTTPSを使用し、データの盗聴や改ざんを防ぎましょう。くわえて、APIに送信するデータは適切に検証しサニタイズすることも大切です。これにより、インジェクション攻撃やその他のセキュリティリスクを防ぐことができます。
また、APIの利用にはレート制限が設定されている場合がほとんどです。そのため、ドキュメントを確認し、これを遵守することも重要です。
3.エラーハンドリング
APIのレスポンスで返されるHTTPステータスコードを確認し、適切に対応しましょう。とくに4xx(クライアントエラー)や5xx(サーバーエラー)の処理を実装します。
一時的なエラーに対しては再試行ロジックを実装することで、信頼性を向上させることができます。
4.パフォーマンス
可能であれば、APIレスポンスをキャッシュしてAPIコール数を減らし、アプリケーションのパフォーマンスを向上させましょう。複数のリクエストを一度に送信できる場合は、バッチリクエストを使用してネットワークのオーバーヘッドを減らします。
5.データ管理
取得したデータが正しいかを検証し、不整合がないか確認しましょう。必要に応じて、取得したデータを適切に保存・管理することも重要です。
6.APIの変更への対応
APIのバージョンが変更される可能性を考慮し、バージョン管理に対応することも重要です。具体的にはバージョンごとの変更点を確認し、必要に応じてコードを更新します。
また、APIの機能が廃止される場合に備え、代替手段を検討し早めに対応することも大切です。
7.利用規約の遵守
API提供元の利用規約をよく読み、これを遵守します。不正利用や規約違反があると、APIキーが無効化される可能性があります。
8.ドキュメントの活用
APIの使用方法や制限事項を正確に理解するために、提供されているドキュメントを常に参照しましょう。
これらの注意点を守ることで、APIを安全かつ効率的に利用することができます。
くわえて、API利用のベストプラクティスを継続的に学び、最新のセキュリティやパフォーマンス向上の手法を取り入れることも重要です。
まとめ
ソフトウェアアプリケーション同士が情報をやり取りするための架け橋およびルールセットのことを「API」といいます。APIを効果的に活用するにはプログラミング言語やHTTPプロトコルなどの知識が必要です。そのため、もし転職を機にAPIを利用する業務に携わる場合は、今回ご紹介した知識の習得を意識するとよいでしょう。
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