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AgriTech

投稿日: 2025/01/31

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農業のさまざまな課題を解決できるとして、今注目されている「AgriTech(アグリテック)」。この取り組みを実現するには、農業課題を深く理解し、その課題を解決する知識とITスキルを持ち合わせた人材が必要なため、農業関連企業を中心にさまざまな現場で求められています。

そこで今回は、AgriTechの概要や注目されている背景、主な活用事例についてご紹介します。あわせて、AgriTech領域で求められる人材も解説しているので、転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

AgriTech(アグリテック)とは?

AgriTech(アグリテック)は、「Agriculture(農業)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語で、農業におけるさまざまな課題をテクノロジーの力で解決するための取り組みを指します。
近年のIoT、AI、ビッグデータ、ドローン、ロボティクスといった先端技術を活用して、農業の効率化や生産性の向上、持続可能性を追求する分野として注目されています。

AgriTech(アグリテック)が注目されている背景

AgriTechが注目されている背景は以下のとおりです。

1.人口増加による食料需要の拡大

世界人口は増加を続けており、2050年には約100億人に達すると予測されています。この増加に伴い、70%の食料増産が必要とされています。
この背景から、今限られた農地や資源のなかで効率的に食料を生産する技術が求められています。

2.農業労働力の減少

高齢化や都市への人口集中により、農業従事者の数が減少しています。とくに日本をはじめとする先進国では農業人口の高齢化が深刻なため、労働力不足を補う自動化技術が求められています。

3.気候変動による農業への影響

気温上昇や異常気象によって、作物の成長や収穫量に大きな影響が出ています。たとえば、干ばつや洪水が頻発する地域では、従来の農業方法だと思うように収穫できなくなっています。
この背景から、気候変動に強い精密農業や環境モニタリング技術の重要性が高まっています。

4.持続可能性への社会的要求

SDGs(持続可能な開発目標)に基づき、環境に配慮した農業の実現が求められています。具体的には、化学肥料や農薬の使用を減らしながら生産性を維持する技術が注目されています。

5.都市化の進展

都市人口の増加により、都市部での食料供給に課題が生じています。この点から、垂直農業や都市農業といった新しい農業モデルが求められており、これらは都市部での持続可能な食料生産を可能にします。

6.テクノロジーの進化

IoT、AI、ドローン、ロボティクス、ビッグデータ解析などの技術が進化し、農業分野への応用が可能になりました。高度な技術によって生産の最適化やコスト削減が現実化しています。

7.食の安全と品質管理へのニーズ

消費者の間で、食の安全やトレーサビリティ(食品がどこで生産されたかを追跡できる仕組み)への関心が高まっています。この背景から、ブロックチェーンやセンサー技術を活用した流通・管理システムが注目されています。

8.投資や政策の後押し

世界中の政府や企業が、AgriTechの研究開発や実用化に資金を投入しています。たとえば、日本では「スマート農業実証プロジェクト」など、政府主導の支援が行われています。

9.フードロスの問題

世界の食料生産量の約30%が廃棄されている現状を改善するため、生産から流通までの効率化が求められています。この背景から、AgriTechの技術で生産性を向上させつつ、無駄を減らす取り組みが進んでいます。

10.新しい市場とビジネスチャンス

伝統的な農業にくわえて、AgriTech企業が多く誕生しスタートアップとしても注目されています。ITやAIの活用で、農業がテクノロジー分野の一部として成長産業化しています。

AgriTech(アグリテック)の活用事例

AgriTech

AgriTechは、農業の効率化や生産性の向上、持続可能性の実現に役立つさまざまなかたちで世界中で展開されています。その具体的な事例を以下でご紹介します。

1.ドローンによる農地管理

日本やアメリカでは、ドローンを利用した農薬散布が広がっています。たとえば、日本の「ヤンマー」は自動航行型ドローンを開発し農薬や肥料の均一散布を実現しています。また、アメリカの「PrecisionHawk」はドローンで農地をスキャンし、作物の健康状態や土壌データを解析しています。
ドローンによる農地管理は労働力を削減し、効率的かつ環境負荷の少ない農業を実現します。

2.センサーを使った精密農業

オランダの農業技術企業「Grodan」は温室でセンサーを使い、作物の水分や養分の最適量をリアルタイムで調整しています。これにより、水資源や肥料の使用量を最適化しています。

3.AIとビッグデータを活用した収穫予測

アメリカのスタートアップ「Climate Corporation」は、天候データや農地データを活用して、最適な種まき時期や収穫時期をAIで予測しています。収益の最大化とリスク管理をサポートする取り組みとして効果を発揮しています。

4.自動運転トラクター

「John Deere」や「Kubota(クボタ)」が開発した自動運転トラクターは、GPSを活用して農地を正確に耕作します。労働力不足の解消に貢献できるほか、正確な農作業によって効率性が向上します。

5.垂直農業(Vertical Farming)

アメリカの「AeroFarms」や日本の「スプレッド」では、LED照明や水耕栽培技術を使って、都市部での野菜生産を実現。土地や水の使用を最小限に抑えることで、年中安定した作物供給を可能にしています。

6.病害虫検知と予防

インドのスタートアップ「CropIn」は、農地の衛星データとAIを活用して、作物の病害虫リスクを予測するサービスを提供しています。このサービスを活用することで作物の損失を未然に防ぐと同時に、生産性を向上させることが可能です。

7.トレーサビリティの向上

ブロックチェーン技術を用いた食品トレーサビリティを提供する「IBM Food Trust」は、農産物の生産から消費までの情報を共有可能にしました。日本の農家でもこの技術を活用して、消費者が購入時に生産者や収穫時期を確認できる仕組みを導入しています。
トレーサビリティの向上は、消費者の信頼向上と食品ロスの削減に大きく貢献します。

8.自動収穫ロボット

イギリスの「Small Robot Company」は、作物を自動で収穫するロボットを開発しました。これを活用すれば労働コストを削減できるほか、人手では困難な作業の実行・効率化が可能になります。

9.クラウド型農業プラットフォーム

日本の「スマートアグリカルチャー株式会社」は、クラウドを利用して農作業データを管理し、農業経営を支援しています。これは生産計画やコスト管理の効率化につながります。

10.水管理の自動化

オーストラリアの「Rubicon Water」は、IoT技術を用いて灌漑システムを自動制御し、水の無駄を削減しています。これにより、限られた水資源を効率的に利用することが可能です。

11.農業向けマーケットプレイス

インドの「DeHaat」は、小規模農家とバイヤーを結びつけるプラットフォームを提供し、農家が直接販売できる仕組みを構築。これにより、農家の収入向上と流通コスト削減を実現しています。

12.遺伝子編集技術による作物改良

カリフォルニア大学の研究チームが、乾燥地でも生産可能な小麦を開発。こうした作物改良は、気候変動に適応した農業を実現します。

AgriTech(アグリテック)領域で求められる人材

AgriTech

AgriTech領域で活躍するには、農業の課題をテクノロジーで解決するための専門知識やスキルが求められます。また、ITの技術力だけでなく、農業に対する理解や問題解決能力も必要です。

以下に、AgriTech領域で求められる人材と必要なスキルセットをまとめます。

1.データサイエンティスト

農業データ(天候や土壌、作物の成長状況など)を収集・解析し、効率的な農業計画や生産性向上に寄与します。

必要なスキル
・データ解析ツール(Python, R, SQL)
・機械学習・AIの知識(TensorFlow, PyTorchなど)
・ビッグデータ解析プラットフォーム(Hadoop, Spark)
・農業データ(リモートセンシングやIoTデバイス)の取り扱い経験

なお、データサイエンティストについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

データサイエンティストとは?需要が高まっている理由から必要なスキルまでご紹介

2.AI/機械学習エンジニア

作物の病害虫予測や収穫時期の最適化、農業ロボットの開発などにAIを活用します。

必要なスキル
・モデル開発・訓練の知識
・画像認識技術(作物の状態モニタリング用)
・異常検知アルゴリズム
・農業分野でのAI応用の理解

3.IoTエンジニア

農業用IoTデバイスを設計・開発し、農場でのリアルタイムデータ収集や制御を実現します。

必要なスキル
・IoTデバイスのハードウェア設計
・センサー技術(温度、湿度、土壌pH測定)
・通信技術(LoRaWAN, NB-IoT, ZigBeeなど)
・クラウド連携(AWS IoT, Google Cloud IoT Core)

4.クラウドエンジニア

農業データの収集・管理・解析の基盤を構築し、農場管理システムをクラウドで提供します。

必要なスキル
・クラウドプラットフォーム(AWS, Azure, Google Cloud)
・データベース設計と管理(NoSQL, RDBMS)
・セキュリティの知識(データ保護、プライバシー対策)
・高可用性のシステム設計

なお、クラウドエンジニアについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

クラウドエンジニアになるためには専門知識・スキルが必須!学習・経験を積んで理想の自分へ

5.ソフトウェアエンジニア

農業管理アプリケーションやプラットフォームの開発、スマート農業を支えるシステム構築を担当します。

必要なスキル
・フロントエンド開発(React, Angular, Vue.js)
・バックエンド開発(Node.js, Django, Ruby on Rails)
・モバイルアプリ開発(iOS, Android)
・APIの設計と実装

6.ロボティクスエンジニア

自動収穫ロボットや自動運転トラクターの設計・開発を行います。

必要なスキル
・ロボット工学(ROS: Robot Operating Systemの知識)
・機械設計や制御システムの知識
・コンピュータビジョン技術(OpenCV)
・機械学習による動作制御の最適化

7.GISエンジニア(地理情報システム)

農地の地理データを解析し、精密農業を支援します。

必要なスキル
・GISソフトウェア(ArcGIS, QGIS)
・リモートセンシング技術
・ドローンで取得した画像データの解析
・地理データの可視化

8.ブロックチェーンエンジニア

食品トレーサビリティを実現するためのシステムを構築します。

必要なスキル
・スマートコントラクトの開発(Solidity)
・分散型台帳技術の知識
・データセキュリティや暗号技術
・食品流通システムの理解

9.アグリビジネス・コンサルタント

ITと農業の知識を融合し、農業現場に最適な技術導入を提案します。

必要なスキル
・農業分野の知識(作物生産、農業経営)
・ITソリューションの理解
・経営戦略や事業開発のスキル
・クライアントとのコミュニケーション能力

10.プロジェクトマネージャー(PM)

AgriTechプロジェクトの計画・進行管理を担当し、技術とビジネスの橋渡しを行います。

必要なスキル
・プロジェクト管理手法(アジャイル、ウォーターフォール)
・チーム間調整スキル
・農業分野での課題理解と解決能力
・予算・スケジュール管理

なお、プロジェクトマネージャーについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

プロジェクトマネージャーとは?主な仕事内容と求められるスキル、キャリアパスの例

まとめ

AgriTech(アグリテック)は、農業のさまざまな課題を解決し、未来の持続可能な農業を実現するための鍵として、今後さらに重要性を増していくと考えられています。それに伴い、農業の課題をテクノロジーで解決できる人材も求められるようになると予測できます。
エンジニアへの転職を検討しており、かつAgriTechに興味がある方は、農業課題を深く理解すると同時に、農業に特化した知識とITスキルを身につけ、そのスキルを実際の現場に応用できる力を備えておきましょう。

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