ビッグデータやAIをはじめとする先端技術の普及・需要が拡大している今、これらの土台となる技術「データサイエンス」にも注目が集まっています。

今回は、データサイエンスの概要や系統学との違い、主な特徴と身近な活用例、将来性と今後の展望などについて解説します。ぜひ最後までご覧ください。

データサイエンスとは

データサイエンスとは、大量のデータを収集・整理・分析し、そこから意味のある知見やパターンを見つけ出す、学問および実践的技術のことです。企業における意思決定、医療における診断支援、マーケティングにおける顧客分析など、あらゆる分野で活用されています。近年はAI技術との融合により、データサイエンスの重要性はますます高まっています。

データサイエンスの進化の歴史

データサイエンスは、以下のように進化しています。

データサイエンスと統計学の違い

データサイエンスと統計学は密接に関連していますが、目的やスコープにおいて違いがあります。

統計学はデータから規則性や傾向を数学的に導き出す学問であり、仮説検定や回帰分析など、理論的アプローチが中心です。一方、データサイエンスは統計学に加えて、プログラミングや機械学習、データベース、可視化技術などを駆使し、より実用的な課題解決に焦点を当てています。

簡単にいえば、統計学は「正確に測るための理論」、データサイエンスは「現場で役立てるための実践技術」です。

データサイエンスとAI（人工知能）の関係

データサイエンスはAIの土台となる技術です。AIが「学習して賢くなる仕組み」であるのに対し、データサイエンスはその学習に使うデータの収集や加工、解析、評価までを包括します。

とくに、AIの中心技術である機械学習（Machine Learning）は、データサイエンスの重要な構成要素です。質の高いデータと適切な前処理がなければ、AIは正しく学習できません。つまり、AIの性能はデータサイエンスの質に大きく依存しているのです。

データサイエンスの特徴と実際の活用例

データサイエンスの主な特徴は以下のとおりです。

• ビッグデータの処理・解析能力
• 機械学習やAI技術との統合
• 多分野横断的な知識体系（数学・統計・情報工学・業務知識）
• データからビジネス価値を創出する力

上述した特徴を踏まえた実際の活用例には、たとえば「災害の発生予測」が挙げられます。
具体的には、気象や地震などの観測データとシミュレーションデータを融合させて、大地震やゲリラ豪雨などの災害を予測します。また、災害時の電気やガス、水道などの使用状況から避難状況を可視化し、避難計画の立案・改善に役立てることも可能です。

このほか、活用例として「小売店の在庫管理」もあります。
小売店では、店舗の立地や曜日、季節など、さまざまな要因でお客さまの数が変化します。ときには、想定よりも来客がなく売り切れが発生することもあるでしょう。データサイエンスを活用すれば、過去の売上データをもとに適切な在庫管理が行えるため、需要と供給のバランスを考慮して適切に在庫を確保できます。

このほかにも、顧客の行動履歴から好みに合う商品を提案する「ECサイトのレコメンドエンジン」、GPSや道路センサーのデータを分析して行う「交通渋滞の予測」、ユーザーの利用傾向に基づいた制御が可能な「スマート家電の自動最適化」などの活用例があります。

データサイエンスの現状における課題

データサイエンスには、以下のような課題があります。

これらの課題を解決するためには、企業内のDX（デジタルトランスフォーメーション）を推進するとともに、全社員が「データを使って考える力（データリテラシー）」を身につける必要があります。

データサイエンスの将来性と今後の展望

データサイエンスは、以下の分野でさらなる成長が期待されています。

今後は、データサイエンティストに加えて、より業務に密着したデータアナリストやMLエンジニアなど多様な職種も求められるようになり、企業全体でのデータ活用が必要になるでしょう。

なお、データサイエンティスト・データアナリストについては以下の記事で詳しくご紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。

データサイエンティストとは？需要が高まっている理由から必要なスキルまでご紹介
データアナリストとは？仕事内容から必要なスキルまで解説

まとめ

ビッグデータの活用やAIの普及に伴い、データサイエンスはこれまで以上に注目を集めています。また、活用シーンも幅広く、小売や医療、公共などで役立てられています。

こうした背景から、さまざまな企業でデータサイエンスの必要性が増し、それに伴いデータの取り扱うに長けた人材が重宝されるようになると考えられます。そのため、転職を検討している方はデータサイエンティストやデータアナリストにも目を向けるとよいかもしれません。

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