はじめに
「クラウド」「AWS」「Azure」「GCP」……
ITの話になると必ず出てくる言葉ですが、
「なんとなく“ネットの向こう側のサーバー”っぽい」
「でも、人に説明できるほどは分からない」という方は多いと思います。
この記事では、
▪️クラウドとは何か(世界観から理解)
▪️クラウドで何ができるのか
▪️その中でも AWS がなぜこんなに使われているのか
初心者向けに丁寧に深掘りしていきます。
1. そもそも「クラウド」とは何か?
昔は“自前サーバー”が当たり前だった
昔は、会社の中にサーバーを置き、
- サーバー本体を購入(数十万〜数百万円)
- 設置する部屋・電源・空調を準備
- 壊れたら保守会社を呼ぶ
- 3〜5年ごとに入れ替え
……という形でITインフラを運用していました。
これを オンプレミス(自前運用) と呼びます。
クラウドは「サーバーを自前で持たない」という発想
クラウドは一言でいうと、サーバーやストレージ、ネットワークなどのITインフラを、
インターネット越しに“必要な分だけ借りて使う”仕組みです。
- サーバーを買わない
- 機器を置く場所もいらない
- 使った分だけお金を払う
「水道」「電気」「ガス」を契約して使うイメージに近いです。
2. クラウドの3つのざっくり分類(IaaS / PaaS / SaaS)
クラウドは、大きく次の3つに分けて理解するとスッキリします。
①IaaS(イアース・Infrastructure as a Service):インフラをそのまま貸します
仮想サーバー(CPU・メモリ・ディスク)
ネットワーク
ストレージ・・・といった 「基礎体力」部分を貸し出すサービス です。
例:AWS EC2、Azure Virtual Machines、GCP Compute Engine 
→ エンジニアが自分たちで OS やミドルウェアを入れて、自由に構築できます。
②PaaS(パース・Platform as a Service):アプリを動かす“環境”まで用意
- アプリ実行環境(Java、Node.js、Python など)
- データベース
- ログ収集
など、アプリを動かすための土台まで用意されたサービス です。
例:Heroku、AWS App Runner、AWS Elastic Beanstalk 
→ インフラの細かい設定は隠蔽され、「アプリを書くこと」に集中できます。
③SaaS(サース・Software as a Service):完成した“アプリそのもの”
- Gmail / Microsoft 365
- Salesforce
- Slack
など、すでに完成しているアプリケーションを、ブラウザからそのまま使う形 です。
ユーザーはインフラを一切意識せずに利用できます。
3. クラウドはどこで使われているのか?
実は、私たちの日常のかなりの部分がクラウドの上で動いています。
- ショッピングサイト(EC)
- 動画配信サービス
- SNS・チャットアプリ
- スマホゲームの裏側のサーバー
- 企業の基幹システム(会計・人事・在庫管理)
- AI・機械学習の実験環境
また、政府機関や銀行、通信会社などのミッションクリティカルなシステムもクラウドに移行しています。
4. なぜクラウドがここまで広がったのか?
①初期費用がほぼゼロ、従量課金で始めやすい
オンプレミスでは、
- サーバーを一括購入
- 使っていなくても置いておくだけでコスト発生という「固定費」が重くのしかかります。
クラウドでは、
- 使った分だけ支払う「従量課金」1台
- 数時間だけ借りることも可能なので、
スタートアップから大企業まで “小さく始めて、必要に応じて大きくする” ことができます。
②数分でサーバーが立ち上がるスピード
オンプレミスだと、
- 機器の見積もり
- 発注〜納品設置
- 配線ラックや電源の準備
などで、環境準備だけで数週間〜数ヶ月かかることもあります。
クラウドなら、
- Web画面から数クリックでサーバー作成
- 数分でログインして作業開始
「思いついたらすぐ試せる」スピード感が、事業の俊敏性を大きく変えました。
③急にユーザーが増えても大丈夫なスケーラビリティ
クラウドには オートスケーリング(自動スケール) という仕組みがあります。 
- アクセスが増えたら、サーバー台数を自動で増やす
- 落ち着いたら自動で減らす
そうすることで、
- サービス停止を避ける
- 無駄なリソースも抑える
という性能とコストのバランス を取れるようになりました。
5. AWSとは何か?クラウドの代表選手をざっくり理解する
AWSは「Amazonが提供するクラウドのフルコース」
AWS(Amazon Web Services) は、Amazonが提供するクラウドサービス群です。
- 仮想サーバー(EC2)
- ストレージ(S3)
- データベース(RDS, DynamoDB)
- ネットワーク(VPC, Route 53)
- AI・機械学習(SageMaker)
- コンテナ・サーバレス(ECS, EKS, Lambda)
など、200以上のサービスを世界中のデータセンターから提供していると言われています。 
クラウド市場でトップシェア
クラウドインフラ市場では、AWSはおよそ 3割前後のシェア を持っています。
Azure(Microsoft)やGoogle Cloudと並ぶ“3強”の1つです。 
- 多くのスタートアップ
- 大企業・金融機関
- 政府機関・軍・情報機関
などが AWS を利用していることも、信頼性・実績の大きな裏付けになっています。 
6. AWSはなぜこんなに多くの人に使われているのか?
ここからが本題です!
「クラウドはいろいろあるのに、なぜ AWS がここまで広く使われているのか?」
その理由を、初心者向けに分かりやすく整理します。
クラウド黎明期からスタートした先行者利益
AWSは2000年代半ばからクラウドサービスを本格展開しており、商用クラウドの中では非常に早いタイミングで市場に参入しました。 
- 早くから多くの企業・開発者が触れ始める
- 事例やノウハウ、ブログ記事が増える
- 学習コンテンツや書籍、資格試験が整備される
という 「使う人が増えるほど、さらに使いやすくなる」循環が早い段階でできあがったことが、大きな追い風になりました。 
サービスの種類が圧倒的に多く、やりたいことが大体できる
AWSは、
- コンピューティング
- ストレージ
- データベース
- ネットワーク
- セキュリティ
- 分析・BI
- 機械学習
- IoT
- メディア配信
など、非常に幅広い分野をカバーする 200+ のサービスを提供しています。 
そのため、
- シンプルなWebサイト
- 企業の基幹システム
- 世界規模の動画配信サービス
- AIプラットフォーム
…まで、ほぼどんなシステムでも AWS の中だけで構成できるのが強みです。
世界中にあるデータセンターと高い信頼性
AWSは世界中にデータセンターを持っており、
各地域ごとに高い可用性と冗長性を確保しています。
- 1つのデータセンターがトラブルになっても、別拠点でサービス継続
- 複数リージョンにまたがったバックアップや災害対策も可能
その結果、「停止したら困る」サービスの多くが AWS を選ぶようになり、
最近の大規模障害時には、逆に「AWS が止まると世界中のサービスが止まる」という状況もニュースになります。 
これは裏を返せば、それだけ多くのサービスが AWS に載っているということでもあります。
学習リソース・コミュニティ・資格が豊富
AWSは、
- 公式ドキュメント・ハンズオン教材
- オンライン講座・書籍・ブログ記事
- AWS認定資格
- 勉強会・ユーザーグループ
など、学びのためのシステムが非常に充実しています。 
そのため、
- 企業側:採用時に「AWS経験者」を探しやすい
- エンジニア:学びやすく、スキルとしてアピールしやすい
という “人材市場との相性の良さ” も、AWS選定の理由になっています。
料金モデルが柔軟で、ビジネスに合わせやすい
AWSは、
- オンデマンド(使った分だけ)
- リザーブドインスタンス(長期利用前提で割引)
- スポットインスタンス(空きリソースを安く提供)
といった多様な料金モデルを用意しています。
研究論文でも、AWSのオンデマンドとスポット市場の組み合わせは、
リスク許容度の異なる顧客に対応するための仕組みとして分析されています。 
スタートアップ〜大企業まで、
それぞれの事情に合わせてコストを最適化できる点が評価されています。
AI・データ分析系サービスの充実
近年は AI・機械学習のニーズが急増していますが、AWSはこれに対しても
- 機械学習プラットフォーム:Amazon SageMaker
- データレイク・分析基盤:S3 + Athena + Redshift など
といったサービス群を提供しており、「データを集める→蓄える→分析する→AIに活用する」流れを一気通貫で作れる点も支持されています。
まとめ
- クラウドとは「サーバーやインフラをネット越しに借りて使う仕組み」
- IaaS / PaaS / SaaS に分けて考えると理解しやすい
- クラウドはコスト・スピード・スケーラビリティの面で、現代のITの標準に
その中でも AWS は
- 先行者利益
- サービスの豊富さ
- グローバルインフラと信頼性
- 学習リソースとエコシステム
- 柔軟な料金モデル
- AI・データ系サービスの充実
という理由から、多くの企業・開発者に選ばれているのですね。
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