はじめに
今、仕事が順調で、特に転職する気もない──
その状態は、一見すると理想のキャリアに見えます。
しかし実は、“いま不満がない人”こそ、
最も気をつけなければならない時期でもあります。
キャリアは、本人が気づかないところで静かに劣化し、
ある日突然「市場から選ばれなくなる」 ことがあるからです。
この記事では、転職意欲の有無に関係なく、すべての人に関係する
「市場価値が急激に下がる瞬間」とその対策についてまとめました。
1. 「現場で評価されている人」と「市場で評価される人」はまったく違う
多くの人が誤解しています。
「現場で困っていない」
「担当業務が評価されている」
「周りから頼られている」
これらはすべて“会社の中だけの話”で、市場価値を保証するものではありません。
例えば、あるエンジニアは、
同じシステムの運用保守を5年間担当し、現場から高い評価を得ていました。
彼は「毎年昇給するし不満はない」と言っていましたが、
転職市場に出た瞬間、
“運用保守しかできない人”として扱われ、年収は下がる案件ばかり。
「現場では必要」でも、「市場では過剰に余っているスキル」だったのです。
キャリアの怖さは、
“本人は成長しているつもりなのに、世の中では価値が落ちている”
というズレが、見えないところで進むことです。
2. 市場価値が“急落”する具体例:クラウドとAIが静かに奪っていくもの
市場を変えているのは、派手なニュースではありません。
日常の業務に入り込み、気づかない間に仕事を奪っていく技術です。
● クラウドシフトで突然いらなくなる業務
・オンプレの構築
・手作業の運用
・サーバーの増設・保守
これらは今、IaaS・PaaSによって「もう人間がやらなくていい作業」 になりつつあります。
現場で忙しく手を動かしている人ほど、実はクラウド化の恩恵から取り残されがちです。
● AIシフトで消えていく仕事
・コード修正の単純作業
・テストケースの作成
・お問い合わせ対応
・ドキュメント整備
AIは人間がやりたい仕事から奪うのではなく、
先に置き換えやすい作業から確実に飲み込んでいきます。
優秀・普通・初心者、誰かに優先して起こるわけではなく、
対象領域にいる人全員が影響を受けます。
ここで重要なのは、現場が忙しいほど、変化を感じる余裕がなくなる
という、最も危険な状態に陥ることです。
3.「転職しない人」が最も危険な理由
転職活動をしない=市場に触れない。
情報を取りにいかない=相場の変化が分からない。
つまり、「選ばれる側にいるのか、もう選ばれなくなっているのか」
を知らないまま仕事を続けることになります。
これは家にいながら、
外の気温が40度になっているのに気づかないようなものです。
4. 市場価値を守るために“今すぐできること”
「転職する気は全くないけれど、将来のために備えたい」
そんな人に向けて、やるべきことは3つだけです。
①現在のスキルが“市場で需要があるか”棚卸しをする
現場評価ではなく、「求人票で求められているか」で判断します。
・古い技術だけに偏っていないか
・工程が下流に偏っていないか
・属人的な業務ばかりしていないか
半年で価値が変わる時代です。
②定期的に“キャリアの健康診断”を受ける
転職する気が0でも構いません。
市場から「あなたはこう見える」という客観的な評価を知るだけで、
価値の落ちるリスクは大幅に減ります。
重要なのは、選択肢を持っている状態を維持すること。
③いつでも動ける状態だけは作っておく
・職務経歴書を最新に保つ
・情報を取る習慣をつくる
・市場の年収相場を知る
転職する必要はありません。
しかし、“転職できる状態”は保っておくべきです。
いざというときに、準備ゼロから始めるのが一番危険です。
■ まとめ:現状維持は成長ではなく、“緩やかな劣化”になることがある
キャリアは“攻め”より“守り”のほうが難しい。
意欲が低いタイミングこそ、最も危険な時期なのです。
そして、転職する人より、転職しない人のほうが市場の変化に弱くなる。
これはキャリア相談を数千件見てきて分かった“真実”です。
転職する必要がないからこそ、市場価値を守る習慣だけは持っていてほしい。
これが、あなたのキャリアを10年スパンで守ります。
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